長期の間 預かって再始動不良を探っていたR35 GT-R。
追加で測定した空燃比計でのAFRを診断し、始動不良時は燃料が足りていない事が判明。
それまでは燃料がなんらかの理由で余分に噴霧され
プラグが被って始動不良に陥ると思ってましたが
空燃比の結果を鑑みると、ある特定の条件で燃料が供給されなくなると思われます。
再始動できなくなっても、一晩放置すると、翌日には何事も無かったかのように始動出来るので
その間に被ったプラグからガソリンが揮発する物だと思い込んでいました。
インジェクターの全閉不良で、燃圧が掛かっている間に
チョロチョロっと燃料がサージタンク内に漏れているのでは?と考えて居たのですが
そうではない事が明らかになり、なぜ、今回の様な特定の状況下で燃料が足らなくなるのか?考えて見ました。
そこで頭をよぎったのが、DENSO製 燃料ポンプの大幅リコール問題。
燃料を送り出すインペラの樹脂に混ぜ物を混入させ、適正な硬度が保てないせいで
使用中にインペラが変形し、吐出不良やインペラーロックを起こすと言う症状です。
340万台以上の車両に影響を与えたこのリコール、もしやこのR35にも・・・。
後部座席を外し、プライマリーポンプとサブポンプの導通や抵抗値を測ると
プライマリーの抵抗値が安定していません。
サブポンプに12Vを送ると、作動音が鳴り響きますが
プライマリー側は変な動き方をしています。
コレだな。
タービンを大型化した際、この車両にはSARD製の295L/Hの燃料ポンプを導入しましたが
製造元はDENSOです・・・。
SARDが代品を用意してくれたので、新品に交換し車両に戻すと・・・。
各症状、まったく発症しなくなりました。
不具合を起こしたポンプはSARDに回収され、これから各部の調査を行う様ですが
タイミング的に燃料タンク内が高温、高圧になった際に出たと思われる今回の症状。
燃料ポンプのインペラが影響を受けたとしても、おかしくはない話です。
翌日に、なにごとも無かったかのようにエンジンが始動出来たのは
燃料が冷える事により、インペラの形が元に戻ったから・・・?
色々と辻褄が合いそうです。
一昔前に世間を騒がせたリコール問題が、アフターパーツにも呪いを及ぼすとは・・・。
ECU側のLOG値でAFRを見ていても、IG-OFFからIG-ON直後の数値の確認が難しい事から
アフターの空燃比計を
常設する事にしました。
これで燃料過多なのか燃料不足なのかが一目で分かる様になり
純正AFセンサーのボケも見抜けます。
小出しにしてますが、R35の事、結構、色々とノウハウは貯め込んでます。
今回の燃料ポンプ不良の件で、また一つ、引き出しが増えました。
ようやく切りが付いたR35 GT-Rとは別のR35が
入庫しました。
この車両はトラブルシュートではなくECUチューンでの入庫で、MY2020モデルになります。
ECUチューンの模様はまた後日にアップします。