人はなぜ剥き出しエアクリーナーを買うのか?メーカーはなぜ剥き出しエアクリーナーを売るのか?その1

1980年代後半から1990年代、チューニングと言えば

①剥き出しのエアクリーナー

②爆音の直管系マフラー

③余裕のある方々はコンピューターチューン現車合わせセッティング

 

この3つが定番中の定番で、特にHKSの剥き出しエアクリーナーは

毒キノコと呼ばれ、その毒々しい色や形が

改造車のエンジンルーム内ではアイデンティティーになってました。

 

自分も一番最初に買ったHCR32 スカイラインは・・・

・・・買って3日目にぶつけて、弄る間もなくバイバイしたので

2番目に買ったS13 シルビアにHKSの毒キノコと

藤壺のリーガルマフラー改、直管仕様

それに通販で買ったKS-ROMのコンピューターを入れてました。

 

一般的なコンピューターチューンは高嶺の花でしたが

なぜか(笑)このメーカーの通販コンピューターは激安でした。

 

当時は弄る事が目的になってしまっていたので

ビフォーアフターを正確に見極めることが出来ていなかったと思います。

 

KS-ROMのコンピューターに替えたら、素人でも分かるノッキングが出たので

電話で問い合わせた所

「燃料が足りてないから、燃料フィルターを新品にして

 燃料ポンプを大容量にして下さい。」

と言われ、言われるがまま、無きなしのお金を使って新品の燃料フィルターと

BNR32 GT-R用ポンプに交換する為、当時は岡崎支店があったガレージ八幡岡崎店に依頼。

2点を替えても変化無し!

全開走行で、気持ち良いぐらいにカリカリカリカリっ!!

 

治りません!って言ったら

ROMを書き換えるので送り直してください。と言われ

素直に送り返したら、ノッキングの出ないコンピューターになって戻って来ました。

「素晴らしい対応だ!」

って当時は思いましたが、その後S13シルビアは事故で廃車になり、部品取りして車体は処分。

 

なぜか(笑)当時の個人売買でも売り手の付かなかったKS-ROM製コンピューターは

ずーっと手元に残ったまま時が流れ、自分で自動車修理業を営むようになり・・・

更に時は流れ、自分でROMのデーターが診れるようになり・・・。

 

なるほど、スピードリミッターとK定数を変更しただけのデーターでは

そりゃノッキングは起きないよな。って理解するまで10年。

見てはいけない風景のドアを開けてしまった様な気がした32歳。

 

あくまで、今から30年近く前の時代の話です。

今がどうのこうの、と言う話ではありませんのであしからず。

 

自分だって、20年前はクチャクチャなチューニングしてましたが

それを生かして、今、どんなチューニングが出来るようになっているか

それが大事だと思います。

 

っで、今日の話のメインは

コレです。

S13にも装着していたのはHKS製エアクリーナー。

世で言う、剥き出し系エアクリーナーのお話です。

 

最初の疑問

人はなぜ剥き出しエアクリーナーを買うのか?

答えは、メーカーが売るからでしょうね。笑

 

少し話が巻き戻りますが、S13シルビアを廃車にした後

しばらくは1.5tトラックやワゴンRに乗って居たのですが

結婚と同時に

GC8 STI Ver4 インプレッサを購入!

普通は逆で結婚と同時にワゴンRになると思うのですが、なぜかワゴンRからGC8へ。

SNSなんてまるでなかった時代なので、先輩からの口伝を元に

「GC8に剥き出しのエアクリーナーを入れるとエンジンブローするらしいぞ」

と言う情報をゲット。

 

実際に当時のゼロヨン会場、名古屋の金城に来ていたGC8は

剥き出しのエアクリーナー付けて、ゴール直前にエンジンブローしてました。

友だちでも何でもないので、詳しいブロー原因は聞けませんでしたが

具体例を目の当たりにしたのも事実なので、自分なりに情報収集。

 

当時スバル系のチューニングで有名だった、とあるショップが雑誌に載せた記事には

「剥き出しのエアクリーナーを付けても、ECUセッティングをしっかりすれば壊れない!」

と書かれていて、逆読みすると

ECUセッティングをしないと、剥き出しのエアクリーナーでは壊れる。

と読み取れました。

 

では、なぜ、ECUセッティングしないと、剥き出しのエアクリーナーではエンジンブローするのか・・・。

当時の知識では、コレっ!と言う答えは出せませんでしたが

今なら分かります。

このケータハム7 160をECUセッティングした時に起こっていたことが

GC8でも起こり得るのだと・・・。

 

このケータハムには

入庫時にこんな感じの剥き出し系エアクリーナーが装着されており

空燃比を測って見ると、激薄状態で回っていました。

 

要はエアクリーナーの形状を替えてしまう事で

エアフロからの出力値がズレてしまい、ECUには

「入って行く空気は少ないっす!」

って誤情報を送信。

ECU側は

「ウイっス!」

って言って

燃料は少なめに、点火時期は進角気味に制御しますが

実際に送られる空気が少ない訳ではないので・・・。

 

負荷の少ない軽自動車エンジンであれば

ブローまでのカウントダウンは比較的長めなのかもしれませんが

ただでさえガラスのエンジンと言われたGC8のEJ20エンジンに、そんな事したら

速攻でエンジンブロー!と言う縮図です。

 

そこで、当時の自分はARCと言うメーカーから出ていた

インダクションボックスと言うエアクリーナーを装着し・・・

エンジンブローしました!爆笑~

 

エアクリーナーを交換する際

一番大事なのはボックス形状なのか?剥き出しなのか?ではなく

エアフロの出力値が、如何に純正値と変わりないか?

これが大事になって来ます。

 

その上で、吸気効率が上がれば万々歳なのですが

吸気効率が上がってもエアフロ電圧が高めに出てしまえば

ECUは燃料増量と点火遅角でパワーダウン。

エアフロ電圧が低めに出てしまえば

燃料減量と点火進角でエンジンブローへのカウントダウン開始。

 

さらに剥き出し化でエンジンルーム内の熱気を吸う様になれば

吸気温度上昇でノッキング誘発。

 

今時の余計なお世話的な制御をしてくれるECUに

剥き出しのエアクリーナーを装着するメリットってあります?

 

剥き出し系エアクリーナーを、装着する事がゴールであれば

それはそれでアリなのかも知れませんが

そもそも、なぜ剥き出し系エアクリーナーを装着しようと思ったのか

その答えを自分自身に問うと、デメリットに直面した際の答えも出てきます。

 

剥き出し系エアクリーナーを装着して、不具合が出たら

ノーマルに戻す!

 

ケータハムがどうかは知りませんが、一般的な量産車製造メーカーは

どんな国に輸出しても不具合なく走る様に、インテークの設計に多大な費用を掛けて開発します。

 

それを1個数千円のエアクリーナーを装着する為に

径だけ合わせたアダプターを付属させて

車種別で売り出して良い訳がないと思いませんか?

 

メーカーはなぜ剥き出しエアクリーナーを売るのか?

その答えは、また別の日に考えて見たいと思います。