GXPA16 GRヤリスに装着したHiperMAX-VFRからの異音。原因が分かりオーナーにも納得して頂けました。

この日のブログ

積載車で引き取って来た、こちらのGRヤリスは

2週間ほど前に、弊社オリジナルサスペンションのHiperMAX-VFR

装着したのですが、納車後に自宅周りの道路を街乗りすると

リアの左からガコガコと異音がするとの事でした。

 

高速道路の継ぎ目の様な段差では鳴らないものの、街乗り40㎞/hレベルだと

ひどい音がすると言う事で、当初は締め付けボルトが緩んでいるかも知れないと

積載車にて引き取りに行って来たのですが、弊社への入庫後試運転をすると

 

 

・・・異音が出ない・・・

 

う~ん。

 

このオーナーからは初めて作業依頼を請けた訳では無く、何度も足を運んで頂いている方なので

虚偽で弊社を困らせようとする、一部のネット徘徊者とは違い、とても信頼のおける方です。

 

嘘をついているとは思いませんが、実際に乗って見て異音が出ない事も確かなんです。

メカニック3人で乗って見ての結果ですから・・・。

 

う~ん。

 

そこで、通常の道路には無いような

こんな感じの段差を左側のタイヤだけで乗り上げながら走って見ると

トランク付近からガコっと言う音がしたので、中を確認すると

バッテリーの後ろ側のスペースに参画表示板が入っていたのと

純正ホイルナットが袋に入った状態で入れてあったので

これらを一度すべてトランクスペースから降ろして

荷物も何もない状態で、再度この

段差を乗り越えて診ると、ガコっとは言わなくなりました。

 

コレだったのかな~と、オーナーに連絡をすると

 

「そんな音じゃない。」

 

う~ん。

 

もう一度、作業時の事を思い出してみます。

 

・・・

 

そう言えば、リアの車高調整が計算通りの数値にならなくって苦労したんだった。

 

リアのスプリングは

一番下側にロアピロリテーナーと呼ばれる

こう言った形のピロボール式リテーナーを入れています。

理由としては、スプリングを受けるロアアームとスプリングの角度を補正する為です。

図に記した角度は必ずしも90度にはならないので

このピロボール式リテーナーが

こんな感じに動いてくれることで、ロアアームとスプリングの受け部分が

こんな感じに密着してくれます。

 

・・・密着してくれないといけないのですが・・・

 

今回装着したこのピロボール式リテーナーは

このボール部分の動きが非常に渋くて、手で力を加えただけでは

ほぼほぼ動いてくれないような固さでした。

 

リアの車高調整が計算通りに決まらなかったのも

このボールが固くて1Gで着地させたぐらいでは動いてくれなかった事が原因でした。

 

すぐにこのリテーナーを製作している会社に電話をすると

 

「ここ数か月の出荷分でピロの動きの固さゆえに異音が出るなどの症状が報告されています。」

 

ココですかね。

 

ここからは推測になるのですが、オーナーに納車した際は左のリアのリテーナーだけ

まだ完全にピロボールが動いておらず

リテーナーとスプリングの間に、こんな感じの隙間が出来る事があったのではないかと。

 

高速道路を走るような速度ではサスペンションのストロークスピードも速くなるので

異音が出る前にスプリングの伸び縮みが終わってしまうものの

街乗りのゆっくりとした動きの際にはガコン、ガコンと言う音が出た。

 

そこで積載車に載せて他県から弊社まで運んできたのですが

その際は積載車の揺れと自車の揺れの両方でサスペンションが揺さぶられるので

リテーナーのピロボールが正規の位置に落ち着いてしまい

引き取り後の弊社での試運転では異音が出なかった。

 

リテーナーの製作会社に製品を送れば、ピロボールのプリロードを変更してくれると言うので

すぐに送って対応して貰い、返送後のリテーナーを手で押してみると・・・

 

普通に動く。

 

こうじゃないといけないんですね。

 

車両に組み込んで再度試運転をかなり長めに行いましたが、何の音も出ません。

念のため、納車は積載車ではなく自走で走りながら自宅まで向かい

更には実際にオーナーに自宅周辺を乗ってもらい、異音が出ない事を確認して貰いました。

 

「うん、これなら全然大丈夫だね。」

 

任務完了で御座います。

 

にしても、オーナーの自宅周りの道路はつなぎ目や補修跡が多い道路が多く

弊社の周りの道路事情とはまるで違う感じでした。

これも異音が出る出ないを左右したファクターかなと思いましたが

今回は自分も助手席に乗った上で問題無いと言って頂けたので安心して帰れます。

 

我々ビークルフィールドの作業工賃は決して安くはありません。

しかし、何かが起こった際、こう言った感じで

極力オーナーの意向に寄り添った対応が出来るように考えて動きます。

 

結果から言いますと、我々の作業が原因で異音が出た訳ではありません。

ありませんが、それはオーナーからしたらどうでも良い事です。

ビークルフィールドでサスペンション交換をしたら異音が出た。

これがオーナーが感じる率直な意見だと思います。

 

あーだ、こーだと良い訳をする前に、まずは動いて調べて診る。

 

今回はその初動が功を奏した典型的な例だと思います。

 

ちなみに昨日のブログに出て来た

このグリコは、このオーナーに頂いた物です。笑

 

「今後はオイル交換だけでもビークルさんに行くからね。」

 

県をまたいでオイル交換に来て頂ける・・・。

こんな幸せなことはありません。

 

今後とも末永いお付き合いをお願い致します。

 

 

さて本日のnoteは、こんなお店には作業を依頼したくないな~と言う

ひどい痕跡だらけのZC33Sネタでして

あのクラッチが戻って来ないスイスポのその後を書き綴っています。