ISUZU ビークロスのトラブルシュート!アイドリングが安定しない・・・。

珍しいクルマが入庫しています。

ISUZUのビークロスです。

数年前からアイドリングが安定せず、色んなお店に修理を断られたとの事。

「整備書があるのであれば、一度診てみます。ただし、納期に関する催促無しで良ければ・・・。」

クルマがココにあると言う事は、2つの条件を了解して頂けたと言う事です。

 

エンジンルームを開けますと

海外製のスーパーチャージャーが鎮座してます。

ほとんどの修理屋さん、この時点で諦めますわな。

 

最初に目に飛び込んで来たのが

エアフロです。

空気の流れとは

逆に装着されてました。

外して見ると、ホットワイヤー式ですね。

フラップ式だったらどうしようって思ってましたが、これなら逆向きでもエンジンは掛かる?のかな!?

入力側には

乱流防止の網が有るので、逆向きであれば結構おかしな事になると思うのですが

ひとまずエンジンは普通に掛かり、アイドルは上がったり下がったりしますが

走行はそれなりに出来てしまうと言う状況でした。

その原因は後になって分かりますが、この時点で頭の中???です。

 

正規の向きに直しても、特に大きな変化はなく

相変わらずアイドリングは

1300rpmになったり

800rpmになったりと情緒不安定です。

 

次に疑ったのが

最近になってトラブルの温床として有名な青マネージです。

 

エアフロ電圧をゴニョゴニョ弄るツールですが

経年で本体がぶっ飛んだり、コネクターの配線が接触不良を起こしたりと

色々とヤラかしてくれるパーツです。

潔く、撤去です。

この青マネージを付けたと言うお店が、ビークロスのエアフロが特殊だと言う事で

何やら抵抗をかました。と言うメモ書きがあったので

関係しそうな配線を剥き剥きしましたが、抵抗は見つからず・・・。

そもそもホットワイヤー式のエアフロ信号に、なんで抵抗なんか入れるん?って思って

新車解説書を熟読すると

マジですか・・・?

出力がHzなんですね!!GRヤリスのエアフロと一緒!!!

当時のISUZUは最先端を走ってたんですね。

しかも2500~9000Hzって言う、ランエボで採用されていたカルマン式とは桁の違う周波数帯です。

 

っで、残念ながら青マネージではこんな周波数の補正は出来ません。

 

更にこのビークロス

アイドリングや低負荷時のみエアフロを使用していて

負荷の掛かるオープループ時は圧力センサーを使ったDジェトロ制御です。

周波数出力のエアフロと言いL&Dジェトロのハイブリッド制御等

当時からしたらかなりの最先端技術を使ってたんですね。

 

ここまで読み進んで

「って事は青マネージは何をしていたの?」

と思ったアナタ!その疑問は当然です。

 

結果から言うと、この青マネージ、なんの制御も出来ていなかった事になります。

エアフロ信号は周波数なので、まともな電圧入力は出来ておらず

スーパーチャージャーが加給して燃料を濃くしたい正圧ゾーンは圧力制御なので

そもそもエアフロに頼っていないんです。

 

恐らくエアフロからの信号が?な時もDジェトロに制御に切り替わる仕様だと思われ

そうするとエアフロが逆についていてもエンジンが掛かり走行が出来た事も腑に落ちます。

 

っと なると・・・

ほぼすべての領域でDジェトロで走っていたと思われまして

青マネージに関しては・・・

はい、ただ付いていただけです。

ただ、付いていただけなので、撤去してもアイドリング不安定の症状は収まらず・・・です。

 

 

さて、何が原因なんだろうと、もう一回診断機の数字を見ると

回転が高い時は、点火時期も30度を超えてます。

アイドリングで点火時期30度って・・・。

推測するに、これは目標アイドル回転数に対して、ISCV等が不調な時に出る症状かと。

 

例えば、目標アイドル回転数が1000rpmだとします。

アイドルスピードコントロールバルブ、通称ISCVに信号が送られ

1000rpmになる様にバルブを開き、空気を入れる様に制御されます。

ISCVが正常に動き1000rpmを保持できればOKですが、ISCVがすでに全開で有ったり

不調で動かなかった場合、ECUは点火時期を上げて回転を上げようとします。

 

更に診断機を凝視すると

アクセルを踏んでないのに、スロットルポジションが3.1%開いている事になってます。

調整がズレてる?と思って、センサーを見ると、このクルマはスロポジ調整不可!

 

ちなみにアイドリングが800rpm付近の際は

スロットル開度0.8%です。

いずれもアクセルは全閉での話ですので、ココおかしくない?って事で再度エンジンルームへ

スロットルポジションセンサーもISCVも、本来の位置から移設されていて

配線が延長加工されてました。

ISCVのカプラーをグリグリすると・・・アイドリングが安定しました。

 

延長配線の延長箇所の被膜を剥くと

あ~ヨッただけですね~。

反対側も

・・・。

何故これで良しとするのか、意味が分かりません。

スロットルポジションセンサー側の移設は

半田付けはしてありますが、これじゃギボシのがまだマシなんじゃない?って程のイモ半田です。

それぞれ4か所の配線をきちんとやり直すと

アイドリングは900rpmでスロットル開度は0.4% 点火時期17度

水温52度として考えれば、妥当な数字です。

ようやく、まともな状態に戻った感じでしょうかね。

 

一度水温を冷まして、低水温でのアイドルアップ

水温上昇によるアイドル回転数の変化を観察し、ISCVがまともに動くのかを確認したいと思います。