R35 GTRの車検は本当に高額なのか?軽自動車が買えるのか? 不定期連載 雑学コラム

R35 GT-Rは維持費が高い!

特に車検がめちゃくちゃ高くて、100万円を超える事も!

GTRの車検で軽自動車が買えますね!

なんて記事が独り歩きした事もありましたが、今ではだいぶ まともな情報が出回る様になりましたね。

 

車検で100万円を超える事はR35 GTRに限った話ではありません。

メルセデスベンツのハイクラスやAMG

それにレクサスのISFやRCFなども高額車検になる事があります。

しかしそれは、車検に付随してタイヤやブレーキローター

ショックアブソーバーなどのサスペンション周り等、高額な消耗品を

正規ディーラーで純正品のみを使って整備する事に原因があり

車検代が高いと言うのとは少しニュアンスが異なります。

 

しかし、本当の所、R35 GTRの車検代は高いのでしょうか?

実際に当店ではどれくらいの費用が掛かるのか説明しますので

参考にして見て下さい。

 

R35 GTRの車検は本当に高額なのか?

安くはありませんが、噂ほど高くもありません。

当店で継続車検作業を行っている2016年9月登録のR35 GT-Rを例に見てみましょう。

一般的に後期と呼ばれる2017年モデルになります。

このブログは2022年の1月に書いているで

2016年の9月から数えると5年半ほど経過したGTRになります。

途中、ナンバーを返却していた時間があると思われ、車検の有効期限は2022年の1月でした。

走行距離は約18000㎞で、GTRとしては一般的な距離です。

約5年落ち2回目の継続車検で、実際にどれくらいの費用が掛かるのでしょうか?

 

まず、R35 GTRの場合、車重が1700g前後有るので、重量税が安くありません。

2022年の1月の段階で32800円が必要です。

自賠責保険は自家用乗用車として2年分加入すると20010円です。

当店は指定工場では無く認証工場ですので、すべての車両を管轄の車検場に持ち込みますので

その際の印紙代として2200円、そして持込車検代行料として14600円を頂いています。

さらに車検場で実際の検査を受ける前に

車検場に隣接されたテスター屋さんで

あらかじめ車検に合格する車両であるかどうかを確かめます。

その費用をテスター代として6000円頂いています。

合計すると、この時点では まだ75610円です。

 

続いて、R35 GTRの場合、保安確認検査として42000円頂いています。

これはR35 GTRや一部の輸入車のみに割り当てられる検査です。

点検をするために2柱リフトで車両を上げるのですが

R35のジャッキアップポイントはかなり特殊なな為(スパンが短い)通常の2柱リフトは使えません。

当店の2柱リフトすべては、R35に対応する為、加工を施してあります。

なので一般的な整備屋さんでドライブオンタイプのリフトが無い所だと

リフトアップすら出来ない事になります。

 

リフトアップ後も下廻りを覆うすべてのアンダーパネルを取り外し

R35 GTR特有のウィークポイントを確認して行きます。

フライホイールハウジングのガタの程度

フロントプロペラシャフトのガタの程度

ミッションのインプットシャフト周りの確認や診断機を使った各エラーの有無の確認。

もちろん、一般的な点検項目も確認します。

 

そして点検した部分を交換、もしくはメンテナンスする

車検時の基本作業として42000円頂いています。

これも、R35 GTRや一部の輸入車のみに割り当てられる費用です。

 

GTRを長年取り扱ってきたからこそ分かっている要メンテナンス箇所中心に

GR6と呼ばれるミッション周りの動きなどを確認し、必要であれば

専用のツールを使って、不具合箇所が無いかを確認して行きます。

こう言ったメンテナンスはNHPCと呼ばれるGTR専門のディーラーであったとしても出来ない部分です。

チューニングショップとしてのノウハウがなければ手が出せない部分だからです。

ここまでの費用を合計すると159610円です。

 

今回の2016年式のR35 GTRは点検の結果とオーナーからの要望で

〇パワステオイルの交換

〇エンジンオイルの交換

〇オイルエレメントの交換

〇フロントデフオイルの交換

〇リアデフオイルの交換

〇エアコンフィルターの交換

〇ラジエターキャップの交換

〇前側ワイパーラバーの交換

を行うことになり

消費税を入れて約246000円の総合計となりました。

安くはありませんが、噂ほど高くも無いと思います。

 

R35 GTR指定ディーラーのNHPCで車検を受けても大体同じぐらいの金額だと思います。

「えっ!?認証工場なのに(くせに)ディーラーと同じ金額なの?」

って言われたことがあります。

(カッコ内は言葉には出てませんでしたが、顔に出てました。)

ディーラーでは出来ないメンテナンスや点検を行う為

ディーラーが持ち合わせていない様々なツールを使って整備させてもらってます。

逆に質問させてもらいますが

ディーラーより安く請け負う必要があるのでしょうか・・・?

 

っと、少し話が逸れましたが

一般的な車両状態であれば、そこまで車検代が跳ね上がる事はありません。

 

では、何故、車検代が

100万円を超えた!

とか

軽自動車が買える値段だった!

と言う情報が出てきたのでしょうか?

いわゆるサムネイル詐欺的な、読み手を誘うだけの大げさな嘘なのでしょうか?

 

そうとも言えません。

実際に当店で93万円と言う請求額になったR35 GTRを例に挙げます。

2008年7月登録の2007モデルが2019年に36000㎞で車検を受けた時の事例です。

11年目の車検と言う事で

〇バッテリー交換

〇エンジンオイル交換

〇オイルエレメント交換

〇フロントデフオイル交換

〇リアデフオイル交換

〇ミッションオイル交換

〇エアコンフィルター交換

〇補機ベルト交換

と、ここまでは一般的な交換部位でしたが、ここからは

初期型ではメジャーなトラブルが同時多発テロ的に発症してました。

 

〇エアコンオートアンプ不良によるエアコン不具合 部品代26900円

〇ABSポンプモーターエラー ユニット修理代93750円

〇電動ファンリレー不良による

電動ファンユニットと電動ファンモーター不良

これらを交換する為には

ラジエターを取り外す必要があり、経年も考えてラジエターも新品へ交換。

ラジエター周りの部品代合計204120円

法定費用と定額費用に部品代と工賃そして消費税を入れて合計930000円となった訳です。

 

まあ、これを車検代と呼ぶのか?と言うと、発症していたトラブルを

車検の際に同時に直した。と言うのが正しいとは思いますが・・・。

 

この様に、高額になり得るトラブルを

見て見ぬふりして車検まで引き延ばすと

軽自動車が買えそうな総額が車検と合算して請求される。

 

これもある意味R35 GTRを所有するにあたっては覚悟しなければいけない事実です。

(とは言っても最近の軽自動車はどれも高額なので93万じゃ買えないですけど。)

 

まとめ

やはりGTRを維持しようとすると、それなりの出費は覚悟しなければいけませんが

通常の車検代として100万円近くの金額が毎回毎回請求されるのかと言うと、それは誤りです。

 

メンテナンスを定期的に行っていれば、車検だからと言って震える必要はありません。

逆に定期的なメンテナンスを怠っていると、車検の時に痛いしっぺ返しを食らう事になります。

 

どんなクルマもそうですが、日ごろからクルマの調子を感じ取る様にして

なにかおかしいな?と思ったら主治医のいる整備屋さんに持ち込んで点検してもらう。

点検でダメな所が分かったら、その都度修理やメンテナンスをしてもらう。

 

常日頃からクルマをパートナーとして捉える考え方が必要なんだと思います。

だって、皆さんのGTRは愛車ですよね。

そう呼ぶだけでは無く、実際に愛を注いであげて下さい。