AW11 MR-2 実走行にて低負荷域とISCを調整

ダイナパックでのセッティングが終わったAW11 MR-2

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Vproでのセッティングの場合、ダイナ上でのセッティングが終わったと言っても

全体のセッティング量から言ったら、半分ぐらい終わっただけです。

 

実走行にて細かい部分の微調整を繰り返し、

いかに普通に走れるか・・・

を追及して行きます。

 

純正ROM書き換えでは出来て当たり前のことですが

Vproなどのフルコンの場合、この普通に走れることが結構難しいんです。

 

Vpro装着車両でも

ダイナパックやローラーシャーシダイナモで、ブーンって回して

ハイ、セッティング終了!

って言うお店がまだまだ多いようですが、仕上がりはどんな感じなんでしょうかね・・・

 

実走行では、まず、ダイナパックでの負荷設定が

実際の走行不可と大きくズレていないかの確認と微調整から入ります。

 

極端な話、エアフロ装着車両であれば多少負荷がズレていたって

ダイナ上と実走行でのA/Fや点火が大きく変わる事はありません。

エンジンが吸い込む実際の空気量をベースに制御してますからね。

 

Dジェトロでも最近のクルマはVEマップが存在し

このVEマップでブースト圧と回転数から仮想充填効率を割り出し

この仮想充填効率を各マップの負荷軸として使用しています。

ワンクッション置くので、ブーストの相違によるズレが緩和されるイメージです。

 

しかしVproは圧力センサーで読み込んだサージタンク圧がそのまま負荷軸として使用されます。

長い坂道をハイギヤ―でアクセル全開にした場合と

下り坂を低いギヤでアクセル全開にした場合では

同じ速度、同じアクセル全開でも掛かるブーストは変わりますよね。

このブーストのズレが負荷軸のズレとなってしまうので

実走行にてズレを補正してやる必要が出てきます。

 

続いては、低負荷域でのドライバビリティー向上と燃費の向上に入ります。

いくらVpro装着車両だと言っても、いつでもアクセル全開な訳ではありません。

ボーと走りたいときもあるしょうし、燃費は悪いより良い方がありがたいですよね。

 

スロットル補正マップを利用し、アクセルの踏み加減に応じA/Fの濃い、薄い、点火の早い、遅いを制御してあげる事で

アクセルをあまり踏んでいない時のA/Fな極端な変化を防ぎギクシャク感を低減すると共に

点火時期の急激な前後でクルマがバタバタしないようにしてあげます。

 

ひと通りの実走セッティングが終わると、今度は

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エンジンスタート時のISCVの基本出力値等を決めてあげて

アイドリングのコントロールセッティングに入ります。

 

今回のAW11、トヨタ車なのにロータリーソレノイドタイプのISCVを採用していました。

今どきのISCVに比べると

(本当の今どきのクルマはISCVすら付いてませんね、アイドリングは電動スロットルで制御されています。)

この時代のロータリーソレノイドは極めて反応が遅く、

Vproから あーしなさい、こうしなさいと指示を出してもソレノイドが動くまでに状況が変化してしまいます。

かといって、フィードバックの周期を早くすればハンチングを通り越してエンジンストールしてしまいます。

あれこれ辻褄を合わせながら、各マップを絡み合わせ

なんとか低水温時のファーストアイドルアップまでVproで制御できるようになりました。

ただ、結構なハイカムを組み込んで、勢いのあるオーバーラップを設定しているので

水温が上がりきるまでは、ちょっとしたきっかけでラフになる事は防げませんでした。

 

ISC(アイドルスピードコントロール)が出来たら、その際に設定した目標アイドル回転数をベースに

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燃料カット復帰回転数を決めて行きます。

燃費向上やエンジンブレーキの確保のために必ず燃料カットは設定しますが

カットしたままではそのままエンストしてしまいます。

 

どのタイミングで燃料噴射を復帰させるかを設定するのですが

遅すぎれば、燃料不足でストール

速すぎれば、プラグがかぶり気味になってこれまたストール

微妙なさじ加減が難しい設定です。

 

ここまで終わって、ようやく全体の9割がたが終わった感じでしょうか

 

残るは低水温時のエンジン始動設定です。

毎回ブログに書いていますが、この設定が出来るのはエンジン水温が冷えている時だけなので

1日に2回しかありません。

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水温が下がったのを見計らって、スタート時の始動噴射量や始動後補正時間&補正量を決めて行きます。

始動直後のA/Fから始動時の噴射量を、その後のA/Fから始動後補正の量と時間が適正かどうかを見分けます。

今回は4回目にようやく設定が決まりましたので、これだけで2日使用した感じです。

 

最後は低水温時の実走行です。

水温補正が入った状態でも極端なギクシャク感が出ないか

出た場合はすぐにエンジンを止めて水温補正を造り直して再チャレンジしますが

水温なんてあっという間に上がってしまうので、これもやり方をミスると数日必要になるケースも・・・

 

こうやって

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手間暇かけてセッティングして行くのがVpro等のフルコンセッティングです。

 

値段だけ聞いて

「うわ、たっけー、なんでそんな値段するの?〇〇だと〇〇〇〇〇円って言ってたよ。」

と言う人がたまにいます。

「じゃあ、そこに行ってセッティングしてもらってください。」

と答えます。

 

現状Vproのセッティングは基本的にこんな感じの

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価格設定をしていますが、正直この値段でも割に合わないと思っています。

当店のレバーレートは1時間8000円です。

セッティングの出来る専門知識を持ったスタッフが1週間掛かりっきりになったとします。

当店の営業時間は約10時間

10時間×7日間×8000円=560000円

1週間掛かりっきりになることは稀ですが、無い話ではありません。

 

他のお店がどういうセッティングのやり方をしているかは知りませんが

当店でVproのセッティングをすると言う事は、こういう流れを踏むと言う事です。

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それでも、組み込まれるハードの特徴故に完璧だと思えるセッティングにはなりません。

ならば、小手先でチョチョっとしたデーターを入れたクルマの調子が良い訳がありませんよね。

 

Vproセッティングやリセッティングを検討している皆さんに

今一度そのセッティングがいかに時間がかかる物であるかを理解していただければ思い

長文、失礼しました。