ふと夜に、助手席のPCを片目で見ながら想う事

お客さんから預かったクルマをダイナパックでセッティングした後

実走セッティングに移行して走る時は、全神経を集中させて

そのクルマからのインフォメーションを感じ取ろうとするので

それ以外の事にはあまり興味が湧きません。

 

でも、デモカーの実走セッティングとなると

普段から乗っているクルマと言う事もあり、そこまで神経を尖らせなくても良いんです。

 

なんとなく挙動を体が覚えていると言うか、まあ、こんな感じだよね、見たいな

予想したフィールがクルマから返って来るので、イレギュラーに備えなくて良いと言うのか・・・。

 

デモカーを持ち、ご自分でセッティングするチューナーには

分かって頂ける感覚だと思いますが、悪く言うと、気が抜けてるんです。

 

いつものように、いつもの道路で

LOGのスイッチをONにしてアクセルを踏み倒す。

そしてパーキングでLOGを見て、予想した通りの結果にうなずく。

計算通りに物事が動くと言うのはとても効率が良く、気分も上がります。

 

 

15年前、まだVproやパワーFCのセッティングしか、出来なかった頃

ハムスターがおもちゃの車輪を回すかのように環状線を走り回り

当時のデモカーだったGDBインプレッサのタービン交換車両を

HKSのVproでセッティングしてました。

たしかVer3.2だったかな。だから海賊版ソフトでセッティング出来ました。

 

この前のデモカーCT9A ランエボ7RSはパワーFCで制御してましたが

補正マップとしての燃料変更しか出来ず、こんなのサブコンじゃん・・・。

って言って、GDBは直接噴射時間を指定するVproへ。

 

あーでもない、こーでもないと、ようやくエンジンが掛かった物の

環状線を1周する事も出来ない様な燃費の悪さ・・・。

 

燃料カットを有効にしたり、噴く域と噴かない域を自分なりに考えて

毎夜、毎晩、環状を走り続けましたね。

 

燃料と点火が決まったら、今度はDUALで存在するAVCS。

Vproでは調整出来なかったので、確かパワーエンタープライズのカムコンを組んだかな。

今なら当然理解できるAVCS変更によるAFRの変化。

当時は関連性が上手く理解できず、折角合わせた空燃比がAVCSでクチャクチャに。

出なかったノックが発生したり、ノックを抑えたら、クルマが無茶苦茶遅くなったり。

 

自分にはECUチューニングの先生と言う方は居ません。

直接誰かからECUセッティングの基礎を教わった訳では無く、そのほとんどが我流です。

R35 GT-Rのセッティングツールをネココーポレーションから購入した際

あまりに無知な自分を見かねて、金子社長が1日かけてディスカッションしてくれましたが・・・。笑

純正ECUを触り始めるのは、もうちょっと後の話です。

 

金子社長に教えてもらった以外は近所の図書館に行って、旧めのエンジン制御理論書を読み漁って

何をどうすれば、どうなるのか、ひたすらトライ&エラーを繰り返したわけです。

 

純正ECUの書き換えに関しては

Vproセッティングがある程度出来るようになってからチャレンジするのですが

Vproのセッティングはすべて我流です。

だって、当時はパワーライター店ではなかったので

HKSが配布するセッティングの為の基礎説明書なんて持ってませんから。

 

GDBがある程度速く走れるようになり

当時出来たばかりのスパ西浦モーターパークで開催された

走行会内のタイムアタックで、唯一1分切りを果たして、優勝した時は気持ち良かったですね。

(とは言っても当時、アンダー鈴木さんが、まだノーマルの面影のあるS15で

 オープン直後の西浦を走り、確か58秒ぐらいで走ってましたね。)

 

GDBインプレッサの次に造ったのは

BNR34 GT-R

クローズドとは言え

自分たちの造ったクルマを自分でセッティングして

始めて300kオーバーの領域へ到達したクルマでした。

 

TO4Zタービンを主軸に

RB26は敢えて排気量を上げない仕様で9000rpmまで回してました。

 

650psぐらいは出てたと思うのですが、当時はシャーシダイナモなんて無かったのでね。

希望的観測値、650psです。笑

 

GDBインプレッサで培ったVproでの数字の打ち方を踏まえて

空燃比をどこまで薄くするとヤバいのか?

ブーストって一体何なのか?

点火時期を早めるとなぜパワーが出るのか?

そんな事を考えながら、環状線から走るコースを替えて

ストレートメインでのセッティングが出来る場所を走ってました。

 

助手席にPCを載せてLOGのスタートボタンを押して、ESCボタンでLOGをOFF。

パーキングにクルマを止めて、LOGをチェック。

やってることは今と変わり有りませんが、違うのは

思い通りの結果がなかなか出なかったと言う点。

 

下手な鉄砲、数打ちゃ当たる。

当時はそんな感じでした。

 

それから15年、今はまず、理屈を考えて、頭で計算する様になりました。

各センサーからの情報を元に、今、このエンジンは何を求め

何を嫌っているのか?

その為に必要なパーツは何か、要らないパーツは何なのか?

制御計算式を調べ、このエアフロ流量の際は

こんな制御に移行するんだろうな。

そんな事を考えて、弾の無駄打ちはせずに、よく狙って数発で仕留める。

 

とは言っても、初めてのクルマをセッティングする際は結局、論より証拠。

走って、試してを繰り返さないと・・・です。

 

 

デモカーのGRヤリスやスイフトスポーツの実走セッティングで

ここの所、テストコースを走る事が多かったので

15年前の自分と同じ自分

15年前の自分と違う自分

ふと夜に、助手席のPCを片目で見ながら想う事

を書き綴ってみました。