ロータス エキシージはよく壊れるのか?故障事例は?対策は? 不定期連載 雑学コラム

当店ではロータス車のECUセッティングやチューニングを行う事も多いです。

車種的には2GRエンジンを積んだフェーズⅢとかMk3と呼ばれる

ロータス エキシージが圧倒的に多いですね。

エキシージS、エキシージ350SPORTや380CUP

限定車の430CUPを手掛けた事もあります。

 

2ZRエンジンを積んだMk3エリーゼや

2ZZエンジンを搭載した

Mk2と呼ばれるエキシージを手掛ける事もありましたが

割合で行くと7:2:1で、7がMk3エキシージ

2がMk3エリーゼ、1がMk2エキシージ等その他のロータスです。

 

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ブログに作業風景やセッティング風景を載せる事も多いので

メールや電話でロータス車 購入前の相談を受ける事も多いです。

 

「当店で車両を注文する訳では無いこの人に

 なんでこんなに丁寧な説明してんだろっ・・・。」

 

って思う事も多々ありますが、大体の人が

「納車されたら、すぐに持ち込みますのでECUチューンお願いします!」

って言うので、懇切丁寧にアドバイスします。

 

まぁ、実際にECUチューンを申し込んでくれる人は半分ですけどね。笑

 

っで、購入前の相談で圧倒的に多い質問内容が

ロータス エキシージはよく壊れるのか?

と言うものです。

 

実際の所どうなのか、作業事例等含めて紹介しますので参考にして下さい。

 

故障事例1 O2センサー系のエンジンチェックランプ点灯

エキシージに限らず、ロータス車では頻繁に起こる

エンジンチェックランプ点灯!

 

すでにロータス車に長い間乗っているオーナー達は、慣れっこで

「あっ またですね。」

みたいな感じで

暑中見舞いと寒中見舞いなイメージで捉えていると思いますが

それほど頻繁にこのランプが点灯する個体も存在します。

 

その中でも一番原因として多いのが

O2センサー関連によるエンジンチェックランプ点灯です。

 

エキシージに搭載された2GRエンジンを供給するTOYOTAでは

このエンジンを制御する為に

ワイドバンドの全域空燃比制御と言う物を行っています。

(使うセンサーは全域空燃比センサーとかA/Fセンサーと呼ばれます。)

エンジン内に噴射したガソリンがどれくらい濃かったのか?薄かったのか?

リアルタイムな濃い薄いを読み取って、濃かった場合はどれくらい濃かったのか?

薄かった場合はどれぐらい濃くすればよいのかを具体的な数字を読み取りながら制御してます。

 

それに引き換えロータス エキシージは

ナロ―バンドの比較空燃比制御と言う制御しか行っていません。

(使うセンサーはO2センサーと呼ばれます。)

ある一つの空燃比に対して、濃いか薄いかしか判断しておらず

濃かったら薄く、薄かったら濃くをずーーーーと繰り返しています。

どれくらい濃いのか?とは考えないので制御がかなり荒いです。

 

例えば、お風呂の温度が30度なのを40度にしたいと思った時

100度の熱湯と0度の冷水が入ったバケツしか準備されておらず

しかもそのバケツに入った水はすべてお風呂に注がなければいけないとなると

40度ぴったりにするのは至難の技ですよね。

 

100度のバケツを2杯入れたら、熱くなりすぎた・・・

今度は0度のバケツを1杯入れたら、下がり過ぎた・・・。

100度のバケツを注いだらetc

何時まで経っても40度ぴったりにはならないと思います。

気にせずにどんどんバケツの水を入れ続けると最後には湯船からお湯が溢れてしまいますね。

これがO2センサーによる比較空燃比制御です。

 

Mk3エキシージでは残念ながら、この旧式な制御しか行っておらず

何時まで経っても制御が成り立たないとエンジンチェックランプが点灯します。

っが、そもそもこの2GRエンジンは全域空燃比制御される事が前提なので

O2センサーによる濃いか薄いかだけの制御には限界があります。

特にO2センサーの先端に煤が堆積すると、この症状には拍車がかかり

実際にエンジンは故障してないにも関わらず、エンジンチェックランプが点灯してしまうのです。

エンジンを切って、次の日に掛けて見たらチェックランプは消えていた。

エキシージに限らず、ロータス車では良くある話です。

 

対策は?

とにかく高回転までブン回して、ロータスらしい走りをする!

少し言い方が悪くなりますが

O2センサー系のエンジンチェックランプが点灯する個体のオーナーは

エンジンをぶん回す事をせず、ロータス車らしくない

しみったれた運転をし続けることが多い様です。

週末になってもガレージ内でエンジン掛けるだけとか最悪です。

 

O2センサーによる比較空燃比制御はアイドリングや低負荷域でしか行われていません。

制御が外れる高回転域や中負荷域以上を使って走っていればこの制御は行われず

O2センサー先端の煤も付きにくくなります。

 

乗っている時は常時全開で走れ!と言う話ではありません。

折角乗ったのであれば、RedZoneにタコメーターが飛び込むような走りを時々行う事で

O2センサー系のエンジンチェックランプ点灯は高確率で避ける事が出来ます。

逆にアイドリングでエンジンを掛け続けるだけだと

旧式な制御でO2センサー先がどんどん劣化し誤動作の確立が高くなります。

だったらエンジン掛けない方が良いと、自分は考えますね。

 

もちろん中古で購入した場合等、前オーナーがどんな走らせ方をしていたのか分からないので

思い切ってO2センサーを交換すると言うのも一つの方法です。

 

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故障事例2 失火によるエンジンチェックランプ点灯

ロータス エキシージはクランクの回転に対して

それぞれの気筒がきちんと追従しているかを見張っています。

すこしでも遅れると、それは失火カウンターと言う数字として数えられ

その数字が決められた数を超えると、これまたエンジンチェックランプ点灯です。

 

各気筒が正確なタイミングで爆発出来なければ

クランクの回転に着いていけず失火カウンターとして数えられてしまうのですが

その原因のほとんどはダイレクトイグニッションコイルと呼ばれる部品の劣化

もしくはそれに伴うプラグの劣化です。

 

対策は?

ダイレクトイグニッションはもう、定期的に交換するしかありません。

症状が出てからでは遅いので、出る前に交換してしまうのがベストです。

ダイレクトイグニッションに関しては5万キロほどで痛んでしまう事例がありますが

ロータスの場合は距離を乗らない人が多いので

5年と言うインターバルが一つの基準になるかもしれません。

 

交換の際に注意しなければいけないのが、ヤフオクとかネット通販で売られている

「純正相当品」

と呼ばれる、粗悪なダイレクトイグニッションや

やたらと安い社外品を絶対に買わない事です。

理由や多々ある失敗事例を列挙するのは辞めておきますが安いのには訳があります。

信頼出来るディーラーやメンテナンス店で、ちゃんとした物に交換してもらってください。

 

ここまでの事例2点は、エンジンチェックランプ点灯に関係するものでした。

ロータスの場合、エンジンチェックランプが点灯した際のDTCコード

(なにが原因でエンジンチェックランプが点灯しているかを示すメッセージ)

を読み取れる汎用品が極端に少ないです。

 

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宣伝になってしまいますが、当店で扱っている

VFRオリジナルパワーゲート3と呼ばれる端末は、主にはECUセッティングに使うのですが

DTCコードの検索と消去機能も付いていて

エンジンチェックランプが点灯している場合

そのコードが表示されます。

画像の場合だとP0700と言うコードだと分かります。

このコードを当店等に伝えてもらえれば、ある程度の症状の切り分けが出来ますし

一過性のトラブルの場合はDTCコードを消去する事も可能です。

ECUセッティングしなくても、この機能の為だけに端末を購入された方もいらっしゃるぐらいです。

 

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故障事例3 エンジンメインハーネス不良による始動不良やCAN通信不良

国産車ではあり得ない話ですが

ロータス エキシージの場合、エンジンのメインハーネスが初期不良を抱えている事もあります。

 

完全に断線してしまえばトラブルシュートも容易なのですが

中途半端な接触不良を起こすので、なかなか原因の特定が出来ない場合は思い切ってメインハーネスを

交換する事で、不具合が嘘の様に直る事もあります。

 

ハーネスを新品で頼むとよく分かるのですが、ハンドビルドなんですよ。

テープの巻き方とかを見ると、お世辞にも良い作りとは言えません。笑

 

ECUに挿さる部分のピンとかが完全に接触しておらず、一部接触のみと言うパターンもありました。

 

対策は?

そう言う個体に当たらないように、ただひたすらに願う。

いや、冗談じゃなくて、本当にコレしか無いです。

そして運悪く当たってしまった場合は、潔くハーネスを交換しましょう。

 

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故障事例4 オーバーレブによるロッカー飛び

及び

ロッカーを修理した際のOリング紛失による圧縮不良

 

2GRエンジンはバルブを押し下げる為、カムが直接バルブを押し込まず

ロッカーと呼ばれる部品がシーソーのような動きをして、カムのカム山が

一つの部品を介してバルブを作動させます。

メリットもありますが、スポーツ走行をする際にはデメリットも大きく

高回転では、このロッカー自体が外れてしまうと言うトラブルも起こります。

 

特に4速から3速にシフトダウンしようと思ったら

力み過ぎて1速に入っちゃって、一瞬、クラッチ繋いでしまった・・・。

 

なんて言うオーバーレブの場合、まずロッカーが飛びますね。

飛んですぐエンジンを止めて、そのままヘッドカバーを開ければ

比較的高確率で無傷での修理に移行出来ます。

っが、ヘッドカバーを開けた際

ここに居るOリングを無くしてしまうと

油圧が掛からなくなって、ラッシュアジャスターが動かなくなって

バルブを正常に動かせなくなって

圧縮不良!って言う結果になります。

 

一瞬、エンジン全損!?ってなりますが、Oリングを入れてヘッドカバーを組むと

見事に復活します。

 

対策は?

2GRエンジンの場合、まず、絶対にオーバーレブさせないと心に誓う!

↑冗談じゃ無く、コレ本当に大事です。

特に2ZZエンジンから乗り換えた人は、ちょっとくらい大丈夫でしょ!って言うのですが

ちょっとでもダメです。

 

万が一オーバーレブ等で、エンジンから異音がしたら、すぐにエンジンを切る事で

外れたロッカーが各部に嚙み込むのを防ぎます。

そのまま、積載車で移動させ、仕組みをよく理解したお店に修理を依頼します。

 

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まとめ

ロータス エキシージに乗ろうとした場合、やはり国産車とは違った種類の覚悟が必要です。

同じ輸入車でもポルシェのケイマン辺りに乗った方が

故障の頻度や完成度と言う面を考えるとメリット多数です。

 

でも、ロータス エキシージには、エキシージに乗る事でしか得られない

至高の悦があります。

その軽量ボディーから来る絶対的な運動能力性能の高さと

先進技術で制御されないドライバーの腕を問うドライビングプレジャー。

 

カミソリの切れ味のようなコーナリング初期での回答性や

コーナー後半のアクセルドライバビリティー感は、最新技術てんこ盛りの国産車ではまるで比較にならず

スポーツカーの代名詞、ポルシェであったとしても昨今のしがらみを捨てきれないが故の負けを感じます。

 

ロータス エキシージを買おうか迷っているなら、辞めた方が良いと思います。

ロータス エキシージに乗りたいんだ!と言う方は是非、購入すると良いと思います。

 

ロータスオーナーになった事があるからこそ分かる、ロータスがロータスと呼ばれる由縁

それを理解できる人にしか、ロータス車は乗れないでしょうね。

 

かく言う自分はエキシージよりも壊れると言うエヴォーラ400に乗っていましたけどね。