昨日のブログでダイナパックに載せられていた
ZZW30 MR-Sはディーラーさんや整備工場では原因が特定できなかった
パワーダウンの原因追及をお請けしました。
もともとダイレクトイグニッションがお亡くなりになったようで
ディーラーさんにて新品に交換すると
失火症状は無くなったものの大幅にパワーダウンして帰って来たそうです。
ディーラーさんでは原因の特定に至らず
一般的な整備工場に持ち込んだものの、やはり原因は分からなかったようです。
それどころか、オーナーが訴えるパワーダウンそのものを
なかなか理解出来なかったようです。
(普段からZZW30に乗っていなければ
入庫したZZW30のパワーが通常なのか否かを判断するのは無理でしょうね。)
そこで当店にてトラブルシュートをする事になったのですが
自分もZZW30なんてそうそう乗る機会も無いので
まずは空燃比を測りながらパワーチェックを行い、グラフの出方を見る事に。
1本目こそ90ps弱を記録する物の4500rpmを堺に大幅にパワーカーブが落ち込み
6000rpmではトルクが6.4kしか出ない為
ダイナパックの負荷に巻けて6000rpm以上回らない状況でした。
ん~、これはまともな状況では無いですね。
空燃比を見ると
高回転で12台前半なので、特に濃すぎておかしなことになっているとか
薄すぎてトルクが出ていないと言う訳でも無さそうです。
診断機でのトラブルコードを診ても
異常無しとなるので
データーモニターを使って、点火時期、VVTIの進角具合等を中心Logを取って診断しますが
高回転で点火時期20度、VVTIは中負荷域で進角しその後きちんと遅角しています。
空燃比、点火時期、VVTIの数字に特に問題がないので
今度はサーマルモニターにてチェックを試みますが
ここだ!と言う不具合特定には至らず
初心に帰る為にも圧縮測定・・・。問題無し
ただプラグを見ると結構なノックの痕跡が見受けられます。
確かにパワーチェック中の音を聞くとノックの音が混ざってますが
90ps 点火時期20度 AFR12でノックなんかする・・・?
あっ!
ダイナから一度クルマを降ろして、今度はリフトアップ
外すは
フロントパイプ!
やっぱり出てきましたね
はい、触媒の
カケラ達です。
上を見上げると
1番2番側の一次触媒が
居ません。
話を整理すると
ダイレクトイグニッションで失火が発生
↓
ミスファイアで触媒が破損し粉々に
↓
フロントパイプに流れて行き、2次触媒上流側に堆積するも
そもそも失火しているので高回転でのパワーダウンは体感出来ず。
↓
ダイレクトイグニッションを交換し高回転まで回る様になったものの
2次触媒の上流側に蓋がかぶさっているので
排気バックでエンジン回らずパワーダウンを体感
こんな感じだと思います。
ひとまず触媒のカケラが原因なのかをハッキリさせるため
フロントパイプレスで爆音パワーチェックを強行!
ご近所様、大変ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。
シャッター閉め切って、排ガスで窒息しそうになりながら
速攻で2本だけチェックした結果が上の実線グラフ2本です。
触媒のカケラが原因で間違いなさそうですね。
フロントパイプレスですので、正常なパイプを接続するれば
MAXパワーは少し落ちると思いますが、90psまで落ち込む事はないと思います。笑
ひとまず原因がわかって良かったです。