ロータス エキシージ 430CUP 各不具合解消の上ECUセッティング完了!

LOTUS EXIGE 430 CUP

発表当初は日本には輸入されないとの事でしたが

急遽10台のみ正規代理店のLCIが取り扱うことになりました。

 

エキシージ史上、最も過激なCUPカー 430・・・。

 

実際にサーキットに持ち込んでみると・・・遅い。

当店に持ち込まれた430CUPのオーナーは、もともとEXIGE SPORTS350に乗っていて

サーキットでのタイムアップを狙うべく430CUPに乗り換えたのですが

まったくタイムが縮まらない・・・。

ロガーを車載して走って見るとトップスピードが350と大して変わらない。

80HPも上がっていてFSWでのトップスピードが数Km/Hしか変わらないなんてまずあり得ません。

 

LCI経由でイギリス本国に問い合わせてもらう物の

これと言った原因追及も出来ないまま1年が経過したそうです。

 

当店のブログよりエキシージの記事を見て下さったようで

「なんとかならないか?」

という相談のもと

「出来る限りチャレンジしてみます。」

と言う事で、この430CUPを預かった訳です。

 

さて、なぜサーキットを走ると遅いのか・・・?

 

サーキットに持ち込む時間的余裕がなかなか取れなかったので

一般道で高回転高負荷での試運転を繰り返して見ました。

 

まずはアクセル全開で試乗しますが、デモカーのエヴォーラと比べても明らかに速い!

パワーの差、車体の軽さがもろに体感出来

体感的には500psぐらいあるんじゃないか?と言う加速感です。

 

っが、連続で高負荷運転を繰り返して行くと

・・・ん?こんなに遅かった??と思う程のパワーダウン。

 

これがサーキットで発症する訳ですね。

一発は早いけど連続走行やスプリントレースになるとこれでもか!と言う程遅くなります。

 

そして、各部の検証が始まる訳です。

先日のブログでも少し触れましたが、ECUの制御が主な原因です。

 

発表当初は日本には輸入されないとの話でしたが、土壇場で話がひっくり返りました。

なぜ日本に輸入が出来る様になったのか?

そもそも当初はなぜ輸入出来ないと言われていたのか?

その部分に日本仕様の430CUPがサーキットを走ると遅い理由があるような気がして

ECUのデーターを精査してみました。

 

正規代理店を通って登録された車両は

日本の法律に合わせる為の政治的な話し合いだけでは

流石に国土交通省も首を縦に振らなかった様で・・・。

まあ、その場に居たわけではないので、あくまで想像上の話ですよ。

 

じゃあ、どうすれば輸入が出来て、ナンバー取得できるのか?

今の日本には近接騒音規制と加速騒音規制

そして昔からある排ガス規制が存在します。

細かい事を言えば、もっとたくさんの規制をクリアしないといけませんが

今回の件に関係しているのは、この3つでしょう。

逆の話をすれば、この3つをクリアすれば日本国内でナンバーの取得が出来る訳です。

 

メーカー側も小手先の対策を急ピッチで行ったんだと思います。

エヴォーラ400と比べると、おやっ?と言う箇所が数か所あり

分かってしまえば

「そう言う事ね~」

と言う対策箇所で、その場しのぎ的な手法が施されていました。

結果、サーキットを速く走る為に購入した430CUPで

サーキットを走っても350や380CUPと大差がないと言う結果になり

頑張ってアタックすればするほどタイムは落ちて行きます。

 

ここまでわかった段階で

車両をダイナパックに載せてパワーチェックを試みます。

 

パワーダウンの症状はダイナパック上でも顕著で

パワーチェックを繰り返すごとにパワーが落ちて行きます。

破線はEXIGE350SPORTSの吸排気交換車両のパワーグラフです。

比較すると明らかにパワーは上回っているのですが

1回目 赤 キレイに6800rpmまで回ってパワーも460psオーバーです。

2回目 緑 1回目のパワーチェックでABSエラーが発生してRevリミットが6500rpmにダウン

(ダイナパックは前後車輪の回転差が出るので、パワーチェック中ABSの前後車輪速エラーが発生します。)

3回目 オレンジ 2本目とは明らかに違うグラフ軌跡を描き420psを下回りました。

もう一本回したら、今度は明らかにエンジンの音がおかしくて

壊れたか?と思って途中で計測ストップ。

こんな感じの制御がサーキットでも発症するんでしょうね。

 

自動車評論家なる方々が公道で試乗し、色々と語っておられますが

そのインプレッションを見る限り

「遅い」

とはだれ一人言っていません。

嘘をついているのでしょうか?

そうでは無いんです。

公道での一発は速い430CUPが、サーキットで連続周回すると遅い。

 

日本仕様故の小手先の対策をOFFって見ます。

パワーが戻って来ただけでなく、低回転域のトルクが見違えるほど太りました!

奇跡の一本ではありません。

連続6本回しても、入庫時の460psオーバーを超えれるようになってます。

しかし、やはり連続パワーチェックをすると6000rpm以降でパワーの制御が入りますね。

5本目の水色 6本目のグレーで顕著です。

 

色々とLogを見ていると、吸気温度による制御が過保護なほどに掛かっている模様です。

過給後の吸気温度の上昇で、点火時期をガッツリ落とされて

パワーが落ちる様子です。

破線が吸気温度36度時 実線が吸気温度58度時です。

ある程度の吸気温度補正は必要ですが

あまりに補正を入れすぎると夏場のアタックは1本のみ見たいなクルマになります。

この辺りはECUのデーター的に

 

少し手を加えて

6本連続で回してもパワーダウンしない様にしました。

エンジンが壊れては元も子も無いので

最大パワーに少しマージンを与えて6500rpm縛りで463ps

RACEモードにした場合のRev6800rpmなら480psぐらい出るかも。

 

ABSエラーが点灯している場合はRACEモードへの切り替えが出来ず

エラーを消すには実走行で数㎞実走する必要があるので

ダイナパックに載せたままではRACEモードでのRev6800rpm測定は不可能なんです。

パワーは回転上昇に比例するのですがトルクは4000rpm付近で最大値を発揮し

54.2kですが、その発生回転数が低回転から有効になるので乗った感じはまるで違うと思います。

 

ここまでテストした上で、このブログを書いて

トラストのイーマネージで出来なかったことを

HKSのFconISで行おうと思ったのですが

イーマネージ以上にエラーコードが乱発!

これ以上はオーナーカーで施工することじゃ無いと判断し

続きはデモカーのエヴォーラ400で試す事にしました。

 

なので純正ECUに追加して制御したかったギミックは

 

切り替えスイッチを追加して、純正制御と追加制御が切り換えれるようにしました。

これで、車検時や公道走行時のリーガル走行と

サーキットでのアタック走行が切り換えれるわけです。

 

後は万が一フェイルセーフモードになってしまった場合に

ディーラーに持って行かなくてもエラーコードが消せるように

パーソナルツールを準備しました。

リストから

ロータスエキシージを選び

グレードを選択

すると、その車種用のDTCコードリーダーになるので

エラーコードがあれば、そのコードが表示され

消去することも可能です。

 

LOTUSに関しては、対応している汎用診断機が限りなく少ないので

こう言うツールが有るというだけで強みになります。

都度ディーラーに行かなくても一過性のエラーだったら、これで消せますからね。

 

さて、これで一通りの作業が完了したエキシージ430CUP

ここの所の、高温な外気温度下での連速試運転にも耐え

入庫時感じた、走れば走るほど遅い!と言う症状は消え去っています。

 

そりゃサーキットで休憩も無く走れば、いずれ吸気温度補正が効いてくるでしょうが

スプリントレースぐらいなら耐えてくれると思います。

納車後すぐに〇〇〇〇-〇〇-〇のイベントに参加するそうですので

白い430CUPを見たら気を付けて下さい。

 

速いですよ。きっと。