年間で100件ほど問い合わせを頂く
ZN6 86やZC6 BRZのAT改6速ミッションへの換装ですが
ほとんどの方が値段を聞いて諦めます。
と言うか、普通に考えれば、そのAT車両を売却し
6速ミッション換装に必要となる予算を上乗せすれば
通常は6速MT車両が購入出来る訳で・・・。
お店としても、まずはその方法を勧めます。
っが、中にはどうしてもこの86&BRZじゃなきゃダメなんです!
でもATでは嫌なんです!!と言う
熱い思いを持ったオーナーがいらっしゃるわけでして・・・。
MOTECを使えば比較的簡単にMT化は出来ます。
でもMOTECのインストールとセッティングだけで100万ぐらいは必要です。
黒86@ビークルフィールドはこの方法でMT換装しています。
でも一般的にはMOTECまでは必要無いので
純正ECUを使ってMT換装を行ったのが
この86でした。
前期のプッシュスタート無し車両でしたが、それでも色々と大変な部分があり
特にECU関連の配線加工やデーター作製は困難を極めました。
MT換装成功をブログアップすると、次から次に問い合わせが来ましたが
値段聞いて、皆さん諦めました。
当然です。100万では全然足らないんです。普通は買い換えます。
でも
こちらの86のオーナーは、値段を聞いてもまったく動じませんでした。笑
確か、2.3回は断ったと思うのですが
(売却して、MT車両を購入した方が良いと思います・・・。と)
最終的には、オーナーの熱い思いに負けて?作業を請け負いました。
とは言っても車両は後期ですし、プッシュスタート有の為
前回のノウハウが通じるかどうかがわかりません。
場合によっては見積金額以上の請求になる事も十分理解して頂きいざ作業開始!
機械的な交換部位に関しては、基本的に前期も後期も大差ないので
それなりに順調に作業は進んだのですが
さあ、エンジンを掛けて見よう!と言う段階から今日まで1週間・・・。
悩み続けました。
試しにECU周りをATのままエンジンを掛けようとすると
エラーだらけでクチャクチャです。
もちろんエンジンなんて掛かりません。
今時のクルマはECU単体では動かず、スマートキーCPUやABSユニット
トランクションコントローラーやボディーコントロールユニットが
CANで相互通信をしています。
例えばATを撤去すると、AT-CPUは
「ソレノイドが断線してる!」
と判断します。
断線と言うかソレノイドそのものが無いですからね~。
ATを撤去してしまったので。
そこでECUは
「ATさん、壊れちゃった?だったらエンジン掛けちゃダメだよね?」
と問いかけます。
AT-CPUは
「そうして頂けるとありがたい!」
と答えているかは分かりませんが、簡単に言うとこれが相互通信です。
昔のCAN通信は一方通行に情報だけ垂れ流していたので
受け取る側がどうこうなろうと知ったこっちゃね~という感じでした。
例えばECUはエンジン回転数をCAN信号として流しますが
AT-CPUはそのエンジン回転数を拾うだけと言った感じです。
なので、CAN通信を行っていたとしても比較的簡単に載せ替えが出来ました。
(Z33前期や中期のMT換装がこの類です。)
でも最近のクルマは相互通信をしているので
双方の情報の辻褄を合わせて上げないと、エンジンスタートすら出来ません。
以前の前期86でのMT換装では
この辺りの配線加工とデーターをノウハウとして保存しておいたのですが
今回の後期車両にはこれがほとんど通じませんでした。
ご存知の方も多いと思いますが
前期と後期ではありとあらゆる制御方法が変更になっていて
簡単に後期のエンジンを前期の車両に載せ替える事が出来ないようになっています。
エンジンスタートに関しても、制御がかなり変更されていて
PCで配線図と回路図を展開しながら
机の上には、加工箇所を書き記した
落書きだらけの図面・・・。
アレをやってもダメ、これをやってもダメ・・・。
っで一週間が過ぎました。
っで、プッシュスタート付車両にだけ存在する
このCPUを無理くり仕様変更させて見ました。
っが
イモビが働いてNG・・・。ですよね~
そこでイモビを再登録して見ると
お~!掛かった!!
クラッチを踏まずにスタートブタンを押すと
エンジンはスタートせずに、ACC→IG-ON→OFFを繰り返します。
しばらくアイドリングさせて、その後軽く空ふかしして見ましたが
変なエラーコードやチェックランプは点灯しません!!
これで、イケたんちゃうか~ニヤニヤ
30分ほどエンジンを掛けたままにしましたが、特にトラブルも無くエンジンは安定してます。
峠は越えたかな!